2011年9月12日月曜日

ハイ・フィデリティ

シンパシー・フォー・音楽オタク。

ハイ・フィデリティ('00)
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ジョン・キューザック、ジャック・ブラック



①特にどこかで発表するわけでもないが、何らかのマイ・ベスト5を作る癖がある。
②自宅のレコード、CD、DVDなどの並びにこだわりがある。
③人がいる場で音楽をかけて、誰かこの曲気に入るだろうかと期待する。
④自分の音楽コレクションからベスト盤を作ったが、人に気に入られず玉砕したことがある。
――以上の項目に当てはまる人は、おそらく主人公の喜悲劇を笑いつつも、内心笑えないだろう。

主人公ロブ・ゴードンは、レコードショップを経営する30代の音楽オタク。そして、同棲していた彼女に出て行かれたばかり。
なぜ自分の恋愛はこうもダメなのか? 自分の何がいけないのか? 自身を見つめ直すべく、彼は今までの「ツラい失恋トップ5」の元カノたちを訪ね歩く。

ラブストーリーだけ切り取ってみれば、本当にどうということのない人間関係の1コマのはず。それがやけにグサリとくるのは、音楽オタクの生態が如実に反映されているからだ。
ベスト盤を作るときは、相手の好みの曲と自分のお勧めの曲を調和させるサジ加減が難しい。
レコードやCDの棚は、自分にしか分からないルールで整理。
語りあえる同志が欲しいと思う反面で、ついつい閉じた世界を作ってしまう。
そんな不器用さがどうしても現実の人間関係にも影響してしまう。
童顔ジョン・キューザックは、そんな「いい歳こいた子ども」にピッタリである。
その一方で、自分がそうしたオタクで色々ダメな点も多い人間であると知った上で、バンドとしてステージに立つジャック・ブラックは逆にカッコいい。ロックスターは自分のカッコ悪さを熟知しながらステージに立つからカッコいいのだ。

それにしても、良い点も悪い点も含めて、音楽オタクの癖が国境を超えていることにはつくづく驚かされる。
ちなみに、私も90%ぐらいロブ・ゴードンである。

もう1つ、この映画を基にオタク指数を測れるポイントは、BGMと小道具。
かかっている音楽、登場人物が着ているTシャツ、画面に映りこむレコードのジャケットに過剰反応すればするほどハイレベル。
が、Wax Trax! Tシャツを見て「すげー! Tシャツあるんだ!」って思った人は私以外に何人いるだろう。深く考えると哀しい。

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