2011年11月11日金曜日

カンパニー・メン

上を見る前に、足元を見て歩け。

カンパニー・メン('10年)
監督:ジョン・ウェルズ
出演:ベン・アフレック、トミー・リー・ジョーンズ



日本人って好きだよなぁ、上を向いて歩くのが。確かに、3.11のような悲劇を目の当たりにして、それでも生きていくには大切なことだとは思う。
でも、上を向くのがいつも正しいってわけでもないだろう。上ばかり見てると、実は泥沼に足突っ込んでたことに気づかないかもしれない。

リーマン・ショックによる不況を機に敢行された、企業の大規模リストラ。クビを切られた1人、販売部長のボビーは、家族のためにも再就職先を探そうと努めるが、高給エリート精神が仇となってなかなか仕事にありつけない。勤続30年の重役フィルも、年齢のため再就職は難しい。やがて、CEOとは起業仲間で、会社のリストラ策を苦々しく思っていた重役ジーンにも解雇通知が。

「どんなときも、上を向いて歩こう」というキャッチコピーや映画予告を見る限り、日本の配給会社は「苦境でも前向きに頑張ろう」をコンセプトとしたいらしい。しかし、各キャラクターの動向を見ていると、配給会社が宣伝しているほど彼らはポジティヴではない。
例えば、ボビーは失業してなお子どもに高額なプレゼントをしたり、ゴルフクラブに通ったりと、高給エリートのステータスにしがみつこうとしている。彼よりよほど現実を見ている家族に支えられて、ようやく動き出し、慣れない肉体労働を始める。逆に、フィルは、一か八か元の会社の海外部門への就職を打診する行動力はあるが、家族には「失業したとバレるから早めに帰ってこないで」と邪険に扱われ、次第に行き場をなくす。ジーンは、起業したばかりの頃を思い出し、当時とは変わってしまったCEOに幻滅し、原点に戻ることを考える。
進む道が決意であれ虚無であれ、彼らはみんな上ではなく、足元を見て歩いていた。そして足元を支えるものとは、家族であり、働くということの原点であった。

なお、リストラ社員の悲劇や復活劇がある一方、CEOが長者番付の上位に収まっているという、皮肉な実態がある。映画公開年を考えれば意図してやったことではないはずだが、ウォール街で大規模デモが起きている現在、実にタイミングのいい描写である。

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