2012年1月9日月曜日

宇宙人ポール

おっさんたち(+宇宙人)のスタンド・バイ・ミー。

宙人ポール('11)
監督:グレッグ・モットーラ
出演:サイモン・ペッグ、ニック・フロスト



もし、あなたが宇宙人に神秘とロマンを求めているなら、この出会いは無かったことにしましょう。
何だっていいさ! なスタンスなら、細かいこと(いっそ宇宙の謎クラスの大きなことも)スルーして意気投合しましょう。
ビールとピスタチオかマーブルチョコ(午前中ならコーヒーとベーグルでも可)があると、なお盛り上がると思います。

コミコンとUFOスポット巡り目的で、アメリカにやってきたイギリス人SFオタクのクライヴとグレアム。2人はネバダ州のエリア51付近を走行中に、暴走車の事故に遭遇する。その車を運転していたのは、ポールと名乗る本物の宇宙人だった……。

ポールは大きな頭に小柄な身体の典型的リトル・グレイ型エイリアン。透明化や蘇生などの特殊能力あり。
1947年に地球に来て以来、60年間アメリカ政府に身柄を拘束されていた。研究対象として用済みになり、解剖にまわされそうになっていたところを脱走。故郷の惑星へ帰るべく、現在謎の組織から逃走中。
アメリカ生活が長いせいか、どっちかというとジャンクな食べ物好き、タバコもハッパもたしなむ。口を開けばスラングとジョーク(下ネタ含む)満載、そしてとってもフランクでポジティヴ思考。短パンとビーサンとバックパックがファッション。
チャームポイントは茶目っ気たっぷりのくるくる変わる表情。特に、ちょっとハードボイルド気取った皮肉な微笑みかた。
SFオタクとしては「何か思ってた『未知との遭遇』と違う……」と違和感を覚えつつも、クライヴとグレアムはポールを故郷へ帰すべく、逃亡劇に協力する。

旅の仲間は、オタク×2、宇宙人に加えて、元敬虔なクリスチャンのおねえさんというカオティックな組み合わせだが、突き詰めて考えれば、話の流れは『スタンド・バイ・ミー』のようなもの。冒険を通じて、改めて仲間たちと向き合ったり、新たに絆を深めたりしながら、少し成長する。
ただし、クライヴとグレアムはだいたい成長しきったおっさん。清々しさも初々しさもない。この旅で人生が何か変わったんだけど、大して変わってないような気もする。
それでも、成り行きだろうと昔からだろうと、一緒にバカ騒ぎができる仲間を思う気持ちだけは、世代(と惑星)を超えてピュアであり続けるのだった。

ちなみに、映画の中で同じくらいピュアなのがSF/映画オタク魂。
コミコンの場面をはじめ、往年の名作映画のオマージュや小ネタが映画の隅から隅までぎっしり。
ピンときたら、ニヤリとするなり、心の中でガッツポーズするなりしてやってください。

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