2012年2月7日火曜日

SUCK(サック)

人間やめますか、ロックやめますか??

SUCK(サック)('09)
監督:ロブ・ステファニューク
出演:ロブ・ステファニューク、ジェシカ・パレ



ロックとヴァンパイアはなかなか相性がいい。ヴァンパイアをテーマにした曲があったり、バンドがヴァンパイアっぽい出で立ちだったり、自らヴァンパイアを名乗ってたり……。
じゃあもういっそ、ヴァンパイアのロックバンド作っちゃえば? カッコいいし。
……と言いたいところだが、これはこれでトラブルがあったり、ときにダメダメだったりするらしい。

売れないインディーバンド、ザ・ウィナーズ。カナダ~アメリカをまたぐツアーを前に、マネージャーから見放される。紅一点のベーシスト、ジェニファーも、ライヴに来ていた怪しい男と消えてしまった……と思いきや、翌日戻ってきた。しかし、雰囲気がゴス&妖艶に一変している。実は、前日にジェニファーと消えた男はヴァンパイアで、彼女は噛まれてヴァンパイアに変身していたのだった。
その日以来、ジェニファーの妖艶な魅力で、ザ・ウィナーズの人気は徐々に上昇。血を吸わないとフラフラになってしまったり、血を吸ったら吸ったで死体を始末しなければならなかったりといった問題もつきまとうが、やっと開けた成功への道に、自分もヴァンパイアになりたいと思いだすバンドメンバーたち。「このままでいいのか」と悩むリーダー、ジョーイ。
その一方で、ヴァンパイアハンター、ヴァン・ヘルシングが彼らを着々と追いつめていた。

一応ヴァンパイアものの形態をとっているが、元祖『ドラキュラ』やアメコミの『ブレイド』と違い、ヴァンパイアの設定はかなり大雑把である。そのためか、ストーリーのご都合主義展開も多いので、ここを笑ってすごせるか見過ごせないかが、楽しめる/楽しめないのポイント。
どちらかというと、この映画のメインはヴァンパイアよりもロックである。音楽チョイスがいいのはもちろん、有名なジャケ写になぞらえたショットあり、某レジェンド級のロケーション(仮)あり……。
何より、レジェンド級のロックスターの出演あり! 謎のバーテンダーを演じるアリス・クーパーは、ほとんどステージのキャラと変わんないじゃないかってぐらいの怪しさ&不気味さ。レコーディング・エンジニアのイギー・ポップは、破滅型人生だった過去のせいか、忠告にいちいち深みがある。DJロッキン・ロジャー役のヘンリー・ロリンズも、役作り不要ではと思うほどのオレ様ぶり。モグワイまで、日頃の音楽性とはズレまくったヘヴィ・ロック系ボーカリストに。カメオ出演なんてちょっとしたものではなく、皆さんしっかり出しゃばっているのが嬉しいところ。

なお、ロックスターじゃないけれど、ロック魂に触れる映画『時計じかけのオレンジ』主演だったマルコム・マクダウェルがヴァン・ヘルシングを演じているのにも注目。しかも、回想シーンに登場する若き日のヴァン・ヘルシングは、『時計じかけ』のアレックス君ほぼそのまま。ついでに、彼のフルネームが「エディ・ヴァン・ヘルシング」ってあたり、分かる人はニヤリとするだろう。

限りなく素顔であれ、ド派手なメイクやコスチュームを纏うのであれ、ロックスターは「普通の人とは違う何か」である。等身大の視点でもって、自然体でロックを鳴らすアーティストですら、フロアもしくはスタジアムいっぱいのオーディエンスを沸かせるパワーを持っている。
ただ、ロックスターの領域に踏み込むためにタダの人間を脱却するとなると、失うものも多い。だからイギー・ポップは、手遅れにならないうちに引き返すよう、ジョーイに忠告する。
ロックスターになれる奴は、ここで何かを失うリスクを恐れず、高みに突き進んでしまう一握りのバカ(褒め言葉)なのかもしれない。

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