2012年10月31日水曜日

ナイトメア・ビフォア・クリスマス

異形っていうのは普通のこと。

ナイトメア・ビフォア・クリスマス('93)
監督:ヘンリー・セリック
出演(声):クリス・サランドン、キャサリン・オハラ



これは、年間を通して店頭に並ぶハロウィンであり、ハロウィンムービーであると同時にクリスマスムービーにもなる一本であり、ホラーに出てくる幽霊やクリーチャーがダメな人でも手にとれるモンスターであり、ティム・バートンファンのバイブルである。と同時に、バートンのストライプ・うずまき・縫い目フェティシズムの集大成でもある。
そうそう、この映画はティム・バートン作品にクレジットされているけれど、本作の監督はヘンリー・セリックなので、お間違いのないよう。

ハロウィン・タウンの王様、ジャックは今年もハロウィンを大成功に収めるが、その陰で毎年ハロウィンをくり返し恐怖をつかさどることに虚しさを感じていた。ジャックの気持ちに気づいているのは、密かに彼に思いを寄せているつぎはぎ人形のサリーだけ。そんなとき、間違ってクリスマス・タウンに迷い込んだジャックは、その暖かく華やかな世界に魅せられる。戻ってからもクリスマス・タウンの様子が忘れらないジャックは、今年は自分たちハロウィン・タウンの住人でクリスマスを作ろうとするが……。

ストーリーを要約すると、主人公の自分探し劇に陥ってしまうところだが、それが巧妙に隠されているのは、ひとえにダニー・エルフマンのスコアと、異形のキャラクターたちのおかげだ。
主人公は骸骨、ヒロインはつぎはぎ人形。そのほかのハロウィンタウンの住人たちも、口が裂けてたり顔がつぶれぎみだったり、というかそもそも人外魔境で、一般的な意味で可愛いとは言いがたい。でも、ハロウィンの世界では、それこそ当たり前。もっと言えば、アウトサイダーの代表格たるティム・バートンにとっては、異形が当たり前なのだ。
ハロウィンタウンの住人たちには、バートンの異形に対する愛情が詰まっている。バートンお気に入りのストライプ柄やうずまき模様や縫い目デザイン、外見とは不釣り合いなような愛嬌や優しさ、ダニー・エルフマン作の素敵な歌をプレゼントされている。そのため、一般的には可愛くないはずのキャラクターたちが、何とも可愛らしく見えてくる。
特に、ジャックは長い手足がエレガントにすら映るし、異形の王様ながら異形であり続けることに密かに悩むアウトサイダー中のアウトサイダーなところは、バートンらしさのカタマリ。サリーはパッチワークドレスがおしゃれで、それ以上にジャックに献身的な様子が泣けてくるほど健気。悪役のウギー・ブギーですら、ズタ袋な体からちょこんと伸びた手足でヒョコヒョコ踊る様が何ともおかしい。
ここでは、可愛くてきらびやかで、一般受けのいいクリスマスこそヨソ者なのだ。

なお、この映画のDVDコレクターズ・エディションには、バートンの初期短編アニメ『ヴィンセント』と、短編実写映画『フランケンウィニー』が収録。古典のユニバーサル・ホラーに影響を受けた異形愛が、顕著に炸裂しています。

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