2013年2月12日火曜日

極私的ボンドヴィランベスト

全員悪人(アウトレイジしてないけど)。

007映画誕生50周年だった2012年には、20世紀FOXや映画秘宝でボンドガール総選挙が行われたもの。それはそれで面白かったし、投票したケースもあった。

しかし、007映画を観たいと思う動機の比重がボンド<ボンドガール<<<ヴィランという自分にとって、ボンドガールはあるのにボンドヴィランの総選挙がないのはいかがなものか(米ロサンゼルス・タイムズでは『歴代悪役ベスト10』があったらしいが)と思い、勝手に作ってみた次第。投票者が一人しかいないので、結局総選挙じゃなくなってるが。


1位 マックス・ゾリン(クリストファー・ウォーケン)『007/美しき獲物たち』
金髪版のガブリエル様(『ゴッド・アーミー』参照)。
生体実験でつくられた天才という設定も納得の端整な顔と冷徹さと浮世離れ感だが、笑顔は妙に可愛い。ぶっちゃけ引退間際のロジャボン(ロジャー・ムーアのボンドの意)よりもシャープでカッコよく、最強クラスボンドガールのメイ・デイと並んでも絵になる。頭脳派系ボスながら、椅子にふんぞり返ってばかりじゃなく、殺しの最前線にまで出てくるアウトドア系なのも観ていて楽しい。

2位 レナード(ロバート・カーライル)『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』
外では狂犬テロリスト、でも好きなあの人の前では子犬。
ロバート・カーライルの持ち味が両方楽しめる。最大の特徴「延髄に残った銃弾のせいで感覚がない」設定は、痛みを感じない怪物ではなく、愛する人を感じ取ることもできない哀しい男として活きている。ということは、最後のバトルでのピアボン(ピアース・ブロスナンのボンドの意)の一言は、痛みを感じないはずの彼に一番の激痛をもたらしたに違いない。それはヒドいよボンドさん(悪いのはレナードですが)。

3位 ジョーズ(リチャード・キール)『007/私を愛したスパイ』『007/ムーンレイカー』
自慢の鋼鉄歯でいろいろありえないものを食いちぎり、サメにも勝てる100%力技勝負。
そのくせ彼女ができたら速攻彼女第一主義になる単純さも好感高。でかい図体ながら、登場まで狭いところに隠れて待っていることが多いので、実は結構マジメで忍耐強いと思われる。

4位 ラウル・シルヴァ(ハビエル・バルデム)『007 スカイフォール
世界一濃ゆくて哀しいマザコン。
「我々は生き残った2匹のネズミ」って言ったけど、正確にはカピバラ系(おもに横顔が)。それにしても、たった1人への復讐というすんごく個人的な動機に、よく仲間がついてきてくれたもんだ。やっぱりアレですか、バルデムさんのモテパワーですか。

5位 ダリオ(ベニチオ・デル・トロ)『007/消されたライセンス』
ボスのサンチェスよりも手下のこちらで。粘着質な笑顔でボンドガールのキャリー・ローウェルをドン引きさせ、ダルボン(ティモシー・ダルトンのボンドの意)に本当にケガさせてしまった、のちのオスカー俳優デル・トロ伝説の始まり。

6位 アレック・トレヴェルヤン(ショーン・ビーン)『007/ゴールデンアイ
悪事のスケールはデカいが手始めにやることは銀行強盗と変わりないとピアボンにツッコミを入れられ、ボスなのに殺し屋クラスのゼニア・オナトップに存在感で負け、退場も卑怯でイヤな奴クラスのボリス(アラン・カミング)にインパクト負けしてたから。
つまるところ、ショーン・ビーンだから。

7位 ル・シッフル(マッツ・ミケルセン)『007/カジノ・ロワイヤル』
顔(の骨格)。
悪役スケールは小さいが、顔の骨格は良い。あの骨格に目の傷と血の涙は似合う。話題の拷問シーンも、ダニボン(ダニエル・クレイグのボンドの意)の腹筋ボコボコ体格より、切羽詰まって汗だくなル・シッフルの顔面骨格が良い。
つまるところ、マッツ・ミケルセンだから。

8位 オッドジョブ(ハロルド坂田)『007/ゴールドフィンガー』
体力勝負系殺し屋ながら、ベースはニコニコしたおっさんというギャップがチャームポイント。終盤、金庫内に閉じ込められたのに焦りも悪あがきもせず、真っ直ぐコネボン(ショーン・コネリーのボンドの意)との一騎打ちに向かう姿が、純然たる戦士。

9位 フランシスコ・スカラマンガ(クリストファー・リー)『黄金銃を持つ男』
「うわー、本物のボンドだ!!」「会っちゃったー! ボンドに会っちゃったー!!」「ボンド君見て見て! うちの設備スゴいでしょ!!」と、憧れのスターを前にした嬉しさ全開オーラが、黄金銃を持つ凄腕の殺し屋という設定を超えました。ちなみに、クリストファー・リーだけに、就寝体勢はドラキュラ。

10位 エルンスト・スタブロ・ブロフェルド(ドナルド・プレザンス)『007は二度死ぬ』
以前のシリーズから顔を見せないスペクター首領として登場。初顔見せがプレザンス。その後のシリーズではテリー・サバラスとチャールズ・グレイが演じているが、傷のある顔とスキンヘッドと割に背が低いところが妙に愛嬌のあるプレザンス推しで。膝上の白猫ちゃんも居心地よさそうだし。

番外

チャン(トシロー・スガ)『007/ムーンレイカー』
名前はチャンだが日本の着物や作務衣を着用。おかっぱ頭とヒゲが基本スタイル。竹刀と剣道防具が戦闘装備。グランドピアノに突っ込んで退場。徹頭徹尾清々しいほど意味不明だった。

エミール・L・ロック(マイケル・ゴタード)『007/ユア・アイズ・オンリー』
際立った癖や特色があるわけでもなく、ボンドや身内の暗殺を請け負い、証拠隠滅と敵の殲滅を兼ねてアジトを爆破する、普通に非道な殺し屋キャラ(『普通に非道』って基準も変だが)。しかし、とにかくマイケル・ゴタードという役者の顔がやたらめったら印象に残る。そういう意味では退場が惜しかった。

カマル・カーン(ルイ・ジュールダン)『007/オクトパシー』
「フランス訛りがいい」という表現はたいていボンドガールに使われる褒め言葉ですが、あえて私はこのおっちゃんに使いますよ。

一応このブログ、「映画選びの参考にご利用いただければ幸い」ってトップに書いてあるんですが、この記事はもっとも参考にならない映画選び基準かもしれない……。

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