2013年3月4日月曜日

ブレイカウェイ

同じダメなら、素敵なダメになろうぜ。

ブレイカウェイ('00)
監督:アナス・トーマス・イェンセン
出演:ソーレン・ビルマーク、マッツ・ミケルセン


 
 
騙されるなよ!!
上のジャケットだとなんかいろいろ破壊するアクションみたいに見えるだろ!?
器物破損は車だけだぞ!!! しかもただのエンジンオーバーヒートで!!
キャッチコピーの「クサった人生、ぶち壊せ!」にも騙されるなよ!!
おっさん(もしくはおっさん一歩手前)たちが見苦しくも哀愁漂わせながら、コツコツと人生切り開こうとしてるだけだ!! 
 
40を迎えてもうだつのあがらない下っ端ギャングのトーキッド。ボスのエスキモーに借金を返すため、落ち着きがあるがヤク中気味のピーター、キレやすいガンマニアのアーニー、気弱でいつも何か食べているステファンら仲間とともに、地味な仕事をやらされる日々。
転機は誕生日の夜、ボスの命令で外交官の家に押し込みに入ったときに訪れた。ボスから回収を命じられたケースの中には、数百万の大金が入っていたのだった。これは人生をやり直すチャンスだと、トーキッドたちはその金を持ち逃げし、新たな地(希望はバルセロナ)へと向かうことに。
しかし、押し込みの際にピーターが負傷していて、さらに車はオーバーヒート。国境近くの山の中で足止めを食らうことに。仕方なく廃屋で寝泊りしていると、今度は地元の猟師に見つかり、トーキッドは相手に話を合わせて「ここを買い取ってレストランを開く」と嘘をつく。これが、思わぬもう一つの転機となるのだった。
 
上記あらすじのとおり、おっさんたちは人生切り開くためにやたらめったら大破壊はしない。文句言ったりキレたり泣き言言ったりしながら、地道に軌道修正しているだけ(アーニーの人生軌道修正は一番ダメなパターンに見えるが。ある筋の人たちに怒られますよ)。おまけに、文句もブチ切れも泣き言も、傍から見たら笑われるレベル。ただし、4人それぞれが道を踏み外すきっかけとなった過去には、それなりの痛みや悲しみがある。そんな彼らの姿がかえって妙に愛おしくなってしまうという人間ドラマが、本当の本筋である。
ギャングとはいえ端くれだし、付き合いの長い者同士なので、揉めてもさほどオオゴトにはならない。この手のおっさんによくあるチャイルディッシュな側面も、何となく読んだ物語や詩に思いを馳せてしまったり、寒いのに全裸で湖に飛び込んでしまったりと、実におかしくも可愛らしい。かといって、思い切ってカタギになろうとしたところで、才能があるわけでもなし、実のところ最後の最後まで「ダメ」からは完全に脱却しきれていない。ただ、頑張って微笑ましいダメになった4人は、ただのやさぐれたダメ時代よりもいっそう魅力的に見えるだろう。
なお、本筋に関わる女性キャラに、トーキッドの元カノ・テレーズとステファンの彼女・ハンナがいる。テレーズがトーキッドたちをつき放しつつも優しく見守っているのに対し、ハンナは一見明るいがその実かなり無神経で、4人と観客をイラつかせる役回り。おっさんたちの絆や人生軌道修正が温かく見えたのは、対照的な彼女らの存在のおかげでもあった。(そして、テレーズを演じてたイーベン・ヤイレって、『ハイ・フィディリティ』のジョン・キューザックの元カノでもありましたね。もしや、ダメ男のミューズ?)
 
ちなみに、ダメ男4人衆のうち、ガンマニアのアーニーを演じているのは、のちのル・シッフルことマッツ・ミケルセン。ことごとくTwitterで「顔面骨格がチャームポイント」と推しているのだが、このときはなでつけショートワンレンに口髭にタンクトップと、うっかりすると骨格が霞むくらい謎のスタイル。アーニーの少年時代を演じていた子役が一番可愛かった(というかびっくりするほど端整だった)だけに、それが『スクリーム』のスキート・ウーリッチくずれに成長すると思うと、アーニーのやさぐれ感ひとしおである。でも、個人的には顔はスキートよりマッツのほうが勝ちだし、タンクトップ姿もかのジョン・マクレーンに匹敵させたいぐらいの威力です! ……と、ファンとして一応フォローしておきますよ。

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