2013年3月3日日曜日

スクール・オブ・ロック

初心者さんいらっしゃい。

スクール・オブ・ロック('04)
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ジャック・ブラック、ジョーン・キューザック



「コロンブスが率いた船は?」
「ニーニャ号」「ピンタ号」「サンタマリア号」
このQ&Aにニヤリとした人とは、ぜひ友達になりたいものだ。

ロックバンドをクビになり、仕事にも就いていないダメ男が、当面の家賃のために、教師であるルームメイトの名を騙って小学校の教員となり、生徒たちにロック・スピリットを教え込む。
一見、ロック版金八先生だが、人間ドラマが極力省かれているあたりが本家金八先生との大きな違い。もし、家族との諍いや、生徒同士の仲違いなどの山場があれば、ちょっとしたドラマとしては成立するが、本当にこの映画自体ちょっとしたドラマで終わってしまっただろう。
客観的にみれば、一連の出来事は、基本的に主人公の自己満足になることばかりだし、勝手に授業プログラムを変えられた生徒たちの人生を実はダメにしたかもしれないし、学校や保護者にはただただ迷惑をかけっぱなしで収束してしまった。しかし、そういう細かいことを隅っこにぶん投げて、気が付けばよく分からない高揚感に包まれてエンディングを迎えているあたり、華やかで骨太でパワー型のハードロックみたいな映画である。

ジャック・ブラック(通称JB)先生の授業は、「ロックの本質とは体制への反抗であり、大物(The Man)を怒らせること」等々、初心者に優しいロック講座。「ロックの本質」は、おそらくある程度のロックファンでもとっさには答えにくいし、延々議論ができそうなテーマなので、中上級者も見ておいて損はないはず。冒頭に挙げたQ&Aのような、中上級者に嬉しい小ネタもあることだし。同時に、どれほど反抗してもロックは負けるのだというシビアな世界も、サラリとではあるが見せている。
JB自身、熱心なロックファンだし、テネイシャスDというバンド(基本下ネタ曲)で活動していたりもするぐらいなので、説得力はある。とはいえ、JB先生の模範解答は「初心者のためのロック足がかり」の域。また、教材として示すロックも、AC/DCやディープ・パープルやザ・フーなどレジェンド級のバンド中心。もちろん、そうしたバンドはロック好きなら避けて通れない(むしろ通れと言いたい)道なのだが、どうせなら生徒の年代のコンテンポラリーなロックについても説けばいいのにという気もする。JBのオールドスクール好きがにじみ出た結果なのかもしれないけど。

ここで語られる「ロックとは何か」は、あくまでJBが敷いてくれた基礎部分。一口にロックといっても、オールドスクールやらグランジやらメタルやら数多くのサブジャンルが存在するように、そこから先、ロックに何を見出していくかは生徒たち(作中の生徒さんも観客も含めて)それぞれが考えたほうがいい。そもそも、ロックって体制の側である学校で勉強するもんじゃないんだから(その学校にJB先生がいる場合を除いて)。

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