2013年5月31日金曜日

エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃

目的は忘れた! でも殺しとユーモアと美少女は忘れない!!

エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃 ('88)
監督:レニー・ハーリン
出演:ロバート・イングランド、リサ・ウィルコックス



まぁ、よくある話ですよ。気がついたら本題それてスケール拡大してるってこと。
日常で言うと、流し台に落っこちた髪の毛拾ってたら、あっちの汚れもこっちの汚れも気になって、気づいたら「何で流し台全部キレイにしてるんだ?」ってなるとか。
出しっぱなしの本を棚に戻すだけのはずが、「何で本棚の並び総入れ替えになってるんだ?」ってなるとかね。
ただ、殺人鬼は別にそこで「何でオレこいつまでぶっ殺してるんだ?」って立ち止まらないからね。

前作『エルム街の悪夢3 惨劇の館』で多大な犠牲を払った方々の努力をムダにして、性懲りもなく復活するフレディ。前作で生き残ったクリステンから、さらにはクリステンの親友(でもあり、ボーイフレンドの妹)アリスを媒介に、他の子どもたちをも夢に引きずり込む。
というわけで、フレディのモチベーションは本来の「自分を殺した奴らの子どもを皆殺し」から、「趣味の子ども殺し」に転じる。そうでもしないとシリーズ続けられないし、もともと趣味で連続殺人やってたわけだからもうしょうがないとは思うけど。殺人鬼キャラに「まったくしょうがないな君は」なんて能天気なこと言ってられるのもファンぐらいなものですね。

しかし実際のところ、フレディのモチベーションはヒロインの魅力に比例していると思われる。ヒロインが可愛らしく、しかし強く、懸命に立ち向かってくるほど、ブラックユーモアも悪夢演出も冴えわたる。
クリステン役が前作の美少女パトリシア・アークエットから交代してしまったのは残念だったが、リサ・ウィルコックス演じる、透明感がありつつ芯の強そうなアリスが登場。あれだけご執心だったクリステンをあっさりポイするとは何ともゲンキンだが、おかげでフレディの悪ノリに磨きがかかってくれた。
"How sweet......flesh meat!" "I love soul food!" など名ゼリフも拝聴できたし、ナースフレディ(姿形変化自在なフレディなのに、なぜかロバート・イングランドさん本人がガチで女装)、炎天下のビーチにフレディ出現、透明フレディと空手勝負、人間ミートボールなどの名演出……というよりもはや珍場面集が大量放出される。すなわちロバートさん大活躍。

とはいえ、今回のフレディ復活のくだりは、たとえ自分が再び甦られるとしてもそれはヤですと文句つけたくなる展開。何でそれで行けると思った脚本家? ロバートさんもここらで苦情言ってもいいんですよ……!

あと、筋トレが趣味のパンク系少女デビーの「ゴキブリホイホイ死」。「存在そのものが犯罪」と位置付けるほどアレが大嫌いな自分にはシリーズ1どぎつい。先述の疑問すぎるフレディ復活劇よりそれはヤですと言いたい。
特撮スタッフさんが張り切っちゃったのかもしれないが、ここらへんの演出はワンパクがすぎるさ。

このワンパクさの原因は、アクションゴリ押し系監督のレニー・ハーリンと思われる。
アリスには「夢をコントロールできる」という力があるらしいのだが、その設定はほとんど活かされず忘れられているに等しい。サブタイトルなのに。
その代わり、何の説明もなく、夢の中で死んだ友人や兄の特技や癖がアリスにそなわり、最終的に武闘派美少女として立ち上がったりする。『カットスロート・アイランド』や『ロング・キス・グッドナイト』で元奥さんのジーナ・ローランズをタフなヒロインに演出するのが好きだったみたいだし、監督の趣味なんだろうなぁ。

ここまでやっておきながら、次回作でアリスがママになった途端、さすがというべきかフレディの彼女への興味は半減したらしい。この本筋にまったく関係ないのだが、グループ魂横浜公演の港カヲルさんの前口上が、フレディのゲンキンな態度にピタリとハマったので引用しておく。
「女は……子どもを産む機械ではないのである! なぜなら……
妊婦には興味がないから!! 誰が? オレが!!!」

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