2013年11月15日金曜日

トレマーズ

砂漠でエクストリーム高鬼。

トレマーズ('89)
監督:ロン・アンダーウッド
出演:ケヴィン・ベーコン、フレッド・ウォード



足が遅いので普通の鬼ごっこは苦手だったけど、高鬼はわりと生存率が高かった自分。登ってられる時間や場所の制限、および高さの優位を利用して逃げ回るのは得意だった模様。
だから、うまくすればコイツらからも逃げれそうな気がするんだけど、200%気のせいなので決してやってはいけない。

砂漠地帯の街パーフェクションで、ゴミ処理や修理など便利屋仕事を続けてきたヴァルとアール。この生活に嫌気が差して街を出ていこうとした矢先、住民が鉄塔に登ったまま死んでいたり、首まで埋まった死体で発見されたりとの怪事件が発生。隣町へ通じる道路がふさがれて車が通れない中、何とか助けを呼びに行こうとした2人が目にしたのは、土の中を移動して人間を捕食する巨大なモンスター(ノリで『グラボイズ』と命名)だった。

『エイリアン』『ジョーズ』など、暗いところや湿気っぽいところでバトルが繰り広げられることが多いモンスターパニックものにおいて、異例ともいえる明るくカラリとした空気の本作。それは晴天の下&砂漠の街という舞台設定だけのおかげではない。
「目は見えないが聴力は鋭い」「地表からの音を頼りに獲物を見つける」「柔らかい土の中は猛スピードで進めるが岩など固いものには弱い」といった生態をもとに、どうやってグラボイズに対抗していくかが本作のキモ。その対抗手段というのが、岩の上を棒高跳びスタイルで逃げたり、わざとギャーギャー騒いで注意をそらすなど、まるで小学生の遊びの発想の延長線上。緊迫した状況のはずなのに、観ていてなんとも微笑ましい。
そのうちグラボイズたちも知恵をつけてきて、住民たちも戦う/逃げる手段を次から次へと編み出していくことになるあたりも、人数や遊ぶ環境の変化に応じて高鬼のルールが変更されていく過程に似ている。「いつまでもてっぺんにいるのはズルいから、この滑り台にいられるのは10秒までね!」「下水のフタの上は高いとこのうちに入らないからナシね!」みたいな。

陸上版『ジョーズ』ともいわれる本作だが、ジョーズとの決定的な違いは、グラボイズと戦うパーフェクションの住民たちが、何らかの専門家でも精鋭でもないところだ。地質学を学んでいる大学生のロンダが地底生物の生態にいくばくか詳しく、第三次世界大戦の勃発に備えて家の地下に武器を蓄えまくっている夫婦がいる程度か。素人軍団が集まって知恵を出し合うという設定は、それこそ「自分でも戦えるかも!」という素敵な勘違いに浸らせてくれる。
また、田舎町のご近所さん同士的な今一つ緊張感のないやり取りも、追い詰められた切迫感や悲壮感をきれいさっぱり消し去っていて口当たりがいい。特にヴァルとアールの掛け合いは、何かとジャンケンで決着つけたがったり、走りながらもムダ口を叩いたりと、タフガイ(気取り)っぽさとユーモアがカラリとした空気の形成に大いに貢献している。普通だったらそれどころじゃないって状況なのに、若いヴァルとロンダをくっつけてやろうとするアールのニヤケ親父っぷりにも笑えた。

自分オススメのモンスターパニックもののわりにはエロもグロもないし、ケヴィン・ベーコンはまだ露出狂になってないから安心だし……って勧め方はあんまりなので。
今は亡き木曜洋画劇場、現在は午後のロードショーでノーカット放映できるし、96分と程よいさっくり尺だし、ホラー・SF・モンスター好きに関係なく、オススメできる層は広いはず。映画史上での評価が『ジョーズ』ほどではないにしても、テンポが良くノリが軽くライトに楽しめる点では、『ジョーズ』に勝っているはずだ。

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