2013年12月9日月曜日

アイアン・フィスト

RZAはオタクの秘孔を突いた!! 「お前はもうハマっている」

アイアン・フィスト('13)
監督:RZA
出演:RZA、ラッセル・クロウ



権力はセックスとバイオレンスでつかむもの(本作のルーシー・リュー談)だとしたら、オタクの心は好きなものに対するジャングルより深い愛情と、鉄が打てるほど高温の情熱でつかむものなんでしょうかね。

中国はジャングル・ヴィレッジにて、ギャングたちの抗争に巻き込まれて両腕を切り落とされた鍛冶屋(ブラックスミス)が、鉄の拳を装着し、復讐の戦いに臨む!! 血しぶきと手足が飛ぶ残虐カンフーバトルにヒップホップ!! 踊るチャイナガールにヒップホップ!! 主演オレ!! 脚本オレ!! 監督もオレ!! 音楽もちろんオレ!!! キャストにはオレの憧れのスターたち!!! 
……と、RZAは映画界本格デビューにあたって、オタクの夢のシナリオをすべて実現してくれた。夢のサポートをしてくれたのが、クェンティン・タランティーノとイーライ・ロスっていうのがまた嬉しい。
ハードな鍛冶屋の仕事やってて、鋼鉄の拳を持って戦うわりにはそんなに筋肉ついてるように見えないRZAだが、そこは「実はオレにはかくかくしかじかで壮絶な過去が……」という取ってつけたような(そしてリュック・ベッソンが好きそうな)設定でカバー。そう言われれば、RZAの目って一度死んで悟りを開いたような目ですよね。錯覚かもしれないけど。
ちなみに、私自身はカンフー映画に詳しいほうではないのだが、それでも本作に詰まった敬意と愛情はビシビシ伝わる。熱意をもって取り組めばジャンルを超えてファンが集うということは、今年の夏『パシフィック・リム』も証明してくれたところです。

タイトルにもなっている鉄の拳が活躍するのはだいぶ後半になってからだが、装着してからはまぁ期待通りの破壊劇を見せてくれる。また、鉄の拳が登場する前から、各キャラクターが持っているガジェットの数々が観ていて楽しい。
例えば、ラッセル・クロウ演じる謎のイギリス人ジャック・ナイフが持っている、ナイフと拳銃の合体拳銃。銃とナイフが一緒になってれば強いんじゃね? というチャイルディッシュな発想の具現化のよう。いざ使ってみると結果はわりとムゴイが、その一方で下ネタとしても有効だったりするので相殺扱いでいいだろうか?
ルーシー・リューのトゲトゲ扇は、実は『ジェヴォーダンの獣』のモニカ・ベルッチと被ってしまっているのだが、こちらのほうがより豪快な使い方。
豪快といえば、何の説明もなく肉体が自由自在に鋼鉄化するブラス・ボディ。WWE出身のデヴィッド・バウティスタってだけでも勝ち目ないのに、金属になっちゃったらもう反則技の極み。
中盤に登場する双飛(ジェミニ)の組み合わせブレードもイイが、それ以上に男女が組体操技みたいな構えで戦うのがアツいポイント。女性のほうはホットパンツだし。
中でも一押しは、ゼン・イーのXブレード鎧。全身に大小さまざまの刀が仕込まれているのだが、どうやって収納しているのか、どういう仕組みで刃が出てくるのかまったく分からない。マジメに考えたらそんな鎧作れるはずがない。しかし可能なのだ! オタクスピリットがあれば! 刀なんていくらでも鎧に収納できるし、刃だって気合いで出せるのだ!!

自分が大好きなカルチャー(カンフー映画と北斗の拳)に、自分が担ってきたカルチャー(ヒップホップ)をごた混ぜた必殺技で、オタクの秘孔を突いてトドメを刺す。最強の拳っていうのは、RZAの手腕のことかもしれない。

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