2013年7月26日金曜日

ゾンゲリア

肉喰うばかりがゾンビじゃないぜ。

ゾンゲリア('81)
監督:ゲイリー・A・シャーマン
出演:ジェームズ・ファレンティーノ、メロディ・アンダーソン



近い時期に出てきた「ゲリア」のつくゾンビ映画同士ということで、本作と『サンゲリア』('79)との違いを明記しておく。

『サンゲリア』
  • 舞台:だいたい南米の小島(あとちょっとニューヨーク)
  • 雰囲気:なんか暑そう
  • メインテーマ:妙にクセになる謎のシンセミュージック
  • 目に……:木が刺さる
  • 女優さんが盛大にムダ脱ぎしてくれる
  • ゾンビが腐ってて虫湧いててキタナイ
  • 肉が喰いたい本能しかないゾンビ
  • ゾンビvsサメの水中プロレスが観れる

『ゾンゲリア』
  • 舞台:アメリカの田舎町ポッターズ・ブラフ
  • 雰囲気:ちょっと荒涼感があって寒々しげ
  • メインテーマ:哀愁漂うピアノとサックス
  • 目に……:注射器が刺さる
  • 女優さんのムダ脱ぎは少ないが美女ナースコスプレあり
  • ゾンビがキレイ
  • 生活能力のあるゾンビ
  • 若き日のロバート・イングランドが観れる

ちなみに、別に派閥があるわけじゃないけど、個人的には『ゾンゲリア』の方が好みである。理由の大半は一番最後の項目である……。

海沿いの小さな町ポッターズ・ブラフにて、よそから来た人間が立て続けに殺される事件が発生。保安官のダンは捜査を進めるが、手がかりはおろか被害者の身元も一向につかめない。実は、一連の事件にはポッターズ・ブラフの住民たちが関わっており、ダンの妻も例外ではなかった。

なんとなくゾンビものらしいから&『サンゲリア』にちなんで=『ゾンゲリア』になってしまった、冒険にも程がある邦題。もっとも、原題『Dead & Buried』(死んで埋められた者?)に忠実すぎてもピンとこなさそうだけれども。
ゾンビものといっても、ここに登場するゾンビは、ヨタヨタ徘徊しては人肉を喰らうよく知られたロメロ系ゾンビではない。ブードゥーや黒魔術絡みの「生ける屍」。しかも、普通に喋るしご飯も食べるし運転もするし、ホントにごく普通に生きている屍だ。同じブードゥー絡みでも、『サンゲリア』のド汚いゾンビとは大ちがい。
かといって、本作のホラー描写がソフトかといえばそうでもない。目に注射器をブスリ、鼻から酸注入、マッドな葬儀屋が崩れた顔面をキレイに修復するプロセスなど、きちんとゴアなところはゴアだし、焼死体や溶けた顔面などの特殊メイク&効果もスタン・ウィンストンが気合いを入れている。
ただ、一番怖いのは、「ポッターズ・ブラフへようこそ!」のあいさつも早々に、わらわらと取り囲まれてボコられて、なぜか「笑って!」と写真&フィルム撮影されながら殺されるという理不尽さだ。スティーヴン・キングあたりが描いてそうな、「善良な田舎の人々の怖さ」があった。

ラストは、一応「意外な結末」ものなのだが、現在ではそんなに珍しいものでもない。しかし、そこに至るまでにちりばめられた不気味さや、クライマックスの哀しさから、やはり秀逸と思えてくる。
さすが、『バタリアン』(監督)『エイリアン』(脚本)を手がけたダン・オバノンの脚本というべきか。

ところで、第一犠牲者の男(イングランドさんに非ず)に何となくつけられた仮名が「フレディ」で、町民たちに焼き殺されて、それでもほどなく甦っちゃうってあたり、『エルム街』ファンには感慨深いものがありますね。……そうでもないですね。
ちなみに、イングランドさんは当時から「胡散臭カワイイ」という独自の存在感を開拓しておりましたよ。「カワイイ」の部分については思い切り偏見が混ざってますが。

2013年7月19日金曜日

飛びだす 悪魔のいけにえ/レザーフェイス一家の逆襲

殺人鬼はつらいよ ~フーテンのレザーフェイス~

飛びだす 悪魔のいけにえ/レザーフェイス一家の逆襲('13)
監督:ジョン・ラッセンホップ
出演:アレクサンドラ・ダダリオ、ダン・イェーガー



「私 生まれも育ちもテキサス、ニュート。チェーンソーにて洗礼を受け、
姓はソーヤー、名はジェデダイア、
人呼んで、レザーフェイスと発します」
(このために、まだ観たことない『男はつらいよ』の記事を調べた労力と、その後の脱力感をどうか薄ら悟ってください)

悪魔のいけにえ』のラスト直後。惨劇から生き残った女の子の通報により、ソーヤー一家は保安官と町の自警団に包囲された。自警団は勝手に実力行使に踏み切り、一家が立てこもる家に火を放ち、ソーヤー一家は全員死亡。唯一赤子だけが、自警団員の夫婦に密かに連れ去られていた。
時は流れ、その赤子・ヘザーは18歳になっていた。そこへ、存在すら知らなかった実の祖母の訃報と、彼女が祖母の遺産相続人であることを記した書類が届く。自身が養子であることを知ったヘザーは、本当の家族のことを知るためにもと、友人たちとテキサスへ向かった。祖母の家は豪華大邸宅で、ヘザーも友人たちもつい舞い上がる。しかしその家には、一家虐殺を逃れ、祖母にかくまわれていたレザーフェイスが潜んでいた……。

……あれ? オリジナル(1974)からの続きだったら、あのとき赤ちゃんだった子はもう40代ぐらいになってるんじゃね? レザーフェイスとドレイトンは親子じゃなくて兄弟だったはずじゃね? ついでに、『悪魔のいけにえ2』を考慮するなら、レザーフェイスはみんなから「ババ」って呼ばれてたんじゃね?(本作ではジェドと呼ばれている)
……と、正統続編とはいってもいろいろ設定矛盾が生じる本作。まぁ、『2』は別物続編としても、レザーフェイスの名前ちがいは、彼を「ババちゃん」と呼んできた自分にとってちょっと寂しい。「ジェデダイア」って、立派なお名前ですけど。もっとも、そのへんの矛盾はサクッと無視するのが監督の意図らしいので、いくらこっちがモヤモヤするといっても仕方ない……のかなぁ?

ただ、そのモヤモヤを解消してくれるぐらいのオリジナル愛とリスペクトはある。とりわけ、ガンナー・ハンセン、マリリン・バーンズらオリジナル出演者の登場が嬉しい。オリジナルのときはまだ若かったから特殊メイクでグランパやってたジョン・デュガンなんか、ようやく年相応になってほぼ素顔でグランパを再演してるもんなぁ。ドレイトン役のジム・シードウは残念ながら他界しているが、その後継者がチョップトップことビル・モーズリィってのもニクい。
ハンマースマッシュやらフック吊りやら冷蔵庫やら、オリジナルをなぞったアイテムや描写があるのは分かるが、オリジナルを意識したショットもあるのも嬉しい。特に、ムダ脱ぎ担当ニッキーのホットパンツを下からのぞき見るようなショットは、明らかにテリー・マクミン意識で印象的。あと、実は直接チェーンソーで切られて死んだ奴は1人しかいないあたりも、オリジナル意識なんだろうか……?(その唯一のチェーンソー死を遂げたキャラは、フック吊りもされているので非常に悲惨な死にざまなのだが、映画的には一番おいしい)
しかし、引き戸だけは……何度か登場したものの、「ゴン! ゴン! ピシャッ!!」の映画史上最強の引き戸には及ばない。あの引き戸だけはもはや越えられない伝説なのだろう。ただ、エンドクレジット直前の引き戸には、今までにない哀愁を感じたから良かったよ。

年齢の進行が時空を超えたヒロインに対し、こちらは時間軸に忠実に初老の域に達しているレザーフェイス。もともと丸みのあった身体のフォルムはさらに丸っこくなり、獲物を追って走るときにも
ちょっと足元が危うくなり、ハンマースマッシュも2撃ぐらいじゃ仕留めきれなくなっている。お歳柄、チェーンソーをぶん回すのも本当はキツそう。それでも、まさかのチェーンソーぶん投げアタックができちゃうあたりはさすが職人。ファッションセンスも、ワインレッドを着こなすなど、若いころより攻めになりましたね。
さすがに、昔のように何かとオタオタオドオドはしなくなったものの、初老レザーフェイスの背中には常に哀愁が漂っている。厳しくも温かかった家族を突然奪われ、同時にガソリンスタンド&バーベキュー(原材料:そこらへん通った人)の家業も立ち消え、密かに面倒を見てくれた祖母も他界。無職で孤独で、今後の人生を思うと……という境遇は、歴代レザーフェイスの中でもトップクラスに切ない。
しかし、結末は逆に、歴代レザーフェイスの中でもトップクラスに幸せといえるんじゃないだろうか。一応コレも、日本人大好き「家族の絆の感動モノ」に分類できると思いますけど。

3Dでスプラッターものということで、本作もある程度は期待通りにチェーンソーがばんばか迫ってくる。飛んでもくる。血しぶきや肉片もていねいに散る。難なのは、『ピラニア3D』のような飛びだすエロが少ないことか。
しかし後半になると、飛びだすことは二の次で、サブタイトルの通り「レザーフェイス一家の逆襲」が、怨念と哀しみと、ヘタすると感動を伴ってくり広げられる。感動しちゃったら最後、もうレザーフェイスに肩入れすることこの上なし。サブタイトル、邦題の悪ふざけだと思っててすみませんでした。
というかね、私がこの映画観て「うわぁ、テキサス行きたくねぇなぁ……」と思う理由って、レザーフェイス(とその一家)じゃないんですよ。「『目には目を』って聖書でもいってるじゃん」って、ズレズレの正義感と都合のいい倫理観を振りかざすテキサス野郎こそ、一番リアルで怖くてヤな存在じゃないですか。その最骨頂こそ、アフガン人がテロやったからイラクで戦争するぞ! ってムチャクチャやったあの大統領じゃないですか……。

なお、一時期日本の配給がよくやらかしてた日本オリジナルエンディング曲ってありましたよね。多くの映画好きの例にもれず、私もこの手法は好かないクチなのですが、コチラに限っては日本オリジナルエンディングとして流れても怒りませんよ。いや、ホントに。