2014年11月10日月曜日

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

コミックと現実、「お前誰?」から始まるヒーロー誕生譚。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー('14)
監督:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ



MDを使い始めたのは高校に入ってからだったので、携帯音楽媒体はカセットウォークマン(1982年製造・SONYの黒)に頼りきりだった中学時代。お気に入りの曲を持ち歩きたいときはカセットにダビングして、とうとう一番のお気に入りを集約したテープが「Best of Best」と書かれたケースに収まったのだった。
あれから15年。まさか、あのときのマイ最強ミックステープを破棄したことを、この映画に猛烈に後悔させられることになろうとは……!!!!

幼いころに地球から宇宙へと誘拐され、今やトレジャーハンターとなったピーター・クイル(自称スター・ロード)。廃墟の星モラグから謎のオーブを回収したことを皮切りに、突如賞金首になり、騒動の末に刑務所行きになり、脱獄して銀河の果てまで向かう羽目に。しかも、実はオーブには銀河の命運を左右するほどのパワーが秘められていたがために、惑星の存亡をかけた戦いにまで発展してしまう。この危機にピーターは、暗殺者のガモーラ、賞金稼ぎのロケットとグルート、復讐鬼のドラックスを仲間とし、銀河を守る戦いに挑むことに……。

出自も性格もバラバラな寄せ集めチームが一致団結して悪と戦う……というヒーローストーリーを、王道を踏まえつつ「分かってらっしゃる!」とオタクを熱くさせることにはもはや定評のあるマーベル。
寄せ集めチームが一致団結というあたりでは『アベンジャーズ』と同じだが、アベンジャーズは我が強いとはいえもともと兵士だったり社長だったり神だったりスーパーエージェントだったりで、今思えばまだ安心感のある皆さん。そこへいくとガーディアンズのメンバーは、それぞれ腕っぷしは強いものの、凶暴なアライグマ、ド天然な歩く大木、比喩の分からない石頭、そんな彼らを「銀河一のバカ」と切り捨てるお姉さんと、我の強い犯罪者集団で、唯一融通が利くのがピーターぐらい。しかも初回のヴィランたるロナンとの力の差が開きすぎていて、どうにも安心できない。つまり、「こんな奴らでどうやって敵を倒してくれるんだろう?」と楽しみにさせてくれる。
さらに、ガーディアンズはマーベルの中でもマイナーなキャラクター揃い。冒頭で「スター・ロード」と名乗ったピーターならずとも、大多数には「……誰?」と返されること請け合い。それをたった1作でアベンジャーズに並ぶキャラの立ったヒーローチームにしてしまう監督の手腕と、マーベルの英断と冒険心に脱帽である。

大多数の観客にしてみれば「お前誰?」なのは、監督のジェームズ・ガンも同じである。映画ファンですら、『悪魔の毒々モンスター』でおなじみのトロマ出身で、ナメクジエイリアン(スリザー)や中年なりきりヒーロー(スーパー!)をつくった人が、どうやってダメ人間揃いのヒーローチームが銀河を守る話を作り上げるのか想像もつかなかった。
しかし、そもそもガン監督の師匠(ロイド・カウフマン。刑務所のシーンにカメオ出演してます)が生み出した『悪魔の毒々モンスター』は、ボンクラ主人公が有毒廃液に突っ込んで醜悪なモンスターと化したと思ったら、悪人たちを血祭りに上げ彼女もゲットするというヒーロー誕生譚。ガン監督自身が作った『スーパー!』も、ヒーローと通り魔殺人は紙一重なことを浮き彫りにしつつ、狂人一歩手前のなりきりヒーローはいかにして真のヒーローになるかという道をも浮き彫りにする怪作。ヒーローというものに対して斜に構えているようで、ヒーローたるものの在り方を(思ってたより)マジメに考えている作品である。そういう意味ではジェームズ・ガンは最も適任といえるし、そんな彼を監督に抜擢したマーベル(のケヴィン・ファイギ)もイイ判断してくれました。
ちなみに、たまに出てくる宇宙クリーチャーも、『スリザー』には及ばないがちょい気色悪さがあって、そこがまたトロマとジェームズ・ガン作品の匂いがするところ。ピーターの話に出てくる「タコみたいな触手と鋭い歯がある」アスカヴァリア人、ぜひナメクジエイリアンのデザイナーに制作してほしいものだ。

ここまで言っておきながら、実はキャラクターや監督以上にこの映画を特別にしているものは、サウンドトラックである。
ティーザートレーラーが発表されたとき、「ウガ・チャカ」こと "Hooked on a Feelin'"が使われていたあたりから意外なチョイスだったが、それだけにとどまらない60~70年代のロック/ポップス。ピーターが地球から誘拐されたときに持っていたお母さんの形見のミックステープ収録曲ということなので、ただのBGMではなく本当にその場でソニーウォークマンやミラノ号のステレオから流れているのだ。こうした選曲センスや使い方といえばタランティーノの十八番だが、まさかマーベル映画で目にするとは。
しかも、銀河の果てに向かいながらデヴィッド・ボウイの"Moonage Daydream"、ポンコツチームがいざ強敵に向かって出撃というときにランナウェイズの"Cherry Bomb"など、映画のシーンと音楽の背景および歌詞とを見事なまでにシンクロさせている。このシンクロが活きる最骨頂はエンディングの2曲なので、ぜひそこは自身の目で見ていただきたい。そこで何か込み上げてきたようなら仲間入りだ。サントラ買っちゃったらやっぱり仲間だ。マイベストのミックステープに対する思い入れまで復活してきて、マイ最強ミックスをカセットテープで編集しちゃったら結構アホだ(それが私だ)。でも、ここまで観てなおカセットテープを笑う奴は容赦しない。たぶん。

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