2014年12月26日金曜日

Dead Snow 2 : Red vs. Dead(処刑山2)

血沸きモツ踊る大運動会。

Dead Snow 2 : Red vs. Dead('14)
監督:トミー・ウィルコラ
出演:ヴェガール・ホール、オルヤン・ガムスト


  1. 走れる
  2. 陣形つくって歩行&ダッシュができる
  3. 軍人としての上下関係が健在
  4. アイコンタクトや首振りで意思疎通が可能
  5. 武器や軍装備などのツールを扱える
  6. 人肉にそんなにがっつかない
  7. ごく一部は喋れる(声を出して笑えるのは全員共通らしい)

処刑山 デッド・スノウ』から続く本シリーズのゾンビの特徴。基本的に「走るなゾンビ!」派の私ですが、ここまでロメロ的ゾンビルールから逸脱するともはや清々しいもんですよ。
でもこれ、見た目がゾンビなだけの最強軍人だよね?

前作のラストからの続き。片腕を切断しながらも唯一生き残った医学生マルティンは、ナチスゾンビのボス、ヘルツォーク大佐の追撃を車で振り切って何とか逃げのびた。しかし、搬送された病院で、振り切った拍子にもげて車内に転がっていた大佐の腕を間違って移植されてしまう。
その腕により、怪力および死者をゾンビとして甦らせるパワーを手に入れたマルティンは、アメリカからやってきたゾンビ・スクワッド(という名のオタクトリオ)と、復活させたソビエトゾンビ軍団を仲間とし、戦車隊を率いて下山・進撃するアインザッツ部隊の前に立ちはだかる。

舞台が雪山から街まで広がっただけあってスケール拡大。しかし決して助長にならず、「今回は怒涛の展開」と監督が豪語していただけあってストーリーがテンポよく進行。
つまり、進行の邪魔になりそうな奴は子どもであろうとサクサク死に、アインザッツ部隊は周辺の村人を老若男女関係なくザクザク殺して先に進み、一か八かの作戦は大変都合よく成功する。この際、道徳と論理は雪山に埋めてくるべきだろう。

トミー・ウィルコラ監督といえば、前作『処刑山』や『ヘンゼル&グレーテル』をご覧になれば分かるように、相手が魔女だろうとゾンビだろうと肉弾戦で決着つけるのが大好きなことで密かに有名(つまり一般的には無名)。その傾向は今回も健在どころか、今まで一番肉弾戦がアツいんじゃないだろうか。
何せクライマックスはナチスゾンビ対ソビエトゾンビの大乱闘。黒い血が飛び散り内臓が盛大にはみ出る殺し合いのはずだが、バトルフィールドがせいぜい街の広場規模なうえ、両者が十分に睨み合ってから「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!」と突撃するので、完全に運動会のノリ。ちゃんと両チーム大将の一騎打ちもあるし。

だいたいナチスゾンビの皆さん、せっかく戦争博物館から第二次大戦期の武器を持ち出したのに、飛び道具といえば戦車ぐらいで、あとは軍用ナイフで刺殺か、ハンマーとかブラックジャック的なもので撲殺第一。実は装備にピストルもあったのにガン無視で刺すor殴る。本当にもうウィルコラ監督は好きだなぁ、直接的な物理攻撃が。

そうそう、もう1つウィルコラ監督が好きなものといえば、腸をふんだんに使った独特すぎるギャグ。前作でも断崖絶壁でゾンビの腸につかまってクリフハンガーやってたけど、今回はさらにいろいろ斬新な腸の使い方が拝めて、前作以上に勉強になります(個人差あり)。おすすめは「給油」です。

ホラーもシリーズものになると、メインを張る殺人鬼/クリーチャーがだんだん良くも悪くも個性的になっていくのが常。本シリーズのヘルツォーク大佐もまた然り。
前作は「よみがえれ!!」の一言のみだったセリフが、流暢に喋るわけではないものの格段に増量。部隊の上官であり司令塔というポジションながら、自ら最前線で人をぶん殴りに行くためアクションも増量。このあたりは前述した監督の好みが大いに影響しているからだろうが、おかげでクライマックスのキッチンファイトや戦車上ファイトなど楽しい場面が目白押しとなった。そしてまさかの冒頭から天然疑惑の浮上。部下はもっと天然だから、日ごろの活動には問題ないのかもしれないけど。

喋るホラーアイコンはチャームポイントがブラックユーモアというケースが多いのだが(『エルム街の悪夢』『チャイルド・プレイ』参照)、大佐はユーモアとは縁薄そうだからなぁ。ちなみに、大佐を演じるオルヤン・ガムストは本業がブラックメタルのボーカリストだそうで、これでもメタルヘッドの端くれたる自分には嬉しいところですよ。

大佐以外でも、前作に比べ格段に精悍になったマルティン、何一つ役に立ってない警察、大佐より流暢に喋るナチドクターゾンビ、ムダにコスチュームがカッコいい戦車隊ゾンビ、ソビエトゾンビの滅法強いリーダー・スタバリン中尉(リメイクジェイソンことデレク・ミアーズ!)、ポンコツかと思いきや意外と出来る人だったゾンビ・スクワッド、巻き込まれちゃったオネエ系のグレン君(実は前作の犠牲者ロイと同一役者。監督の友人にしてバンド仲間)、そしてマルティンたちの味方についた不憫な少年ゾンビと、実にイイキャラクターたちが顔をそろえています。

そういえば、前作は予告編&ソフト発売時に表記がゾンビではなく「ゾムビ」になっていたのだが、本作もゾムビ表記になるのか? 「ゾムビスクワッド」ってちょっと語感がふわっとしちゃうんだけど。

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