2015年1月18日日曜日

武器人間/ヒトラー最終兵器

東部戦線異状大あり。

ナチスとソビエトがトンデモな泥試合……いや血みどろ試合をくり広げてるのは、『Dead Snow 2 : Red vs. Dead』(処刑山2)だけじゃなかったらしい。いや、たぶん探せばまだ出てくるだろうけど、今回はとりあえずこのあたりで勘弁しといてもらえませんか。長時間一人で観てるとある意味で疲労困憊するから。

武器人間('13)

監督:リチャード・ラーフォースト
出演:カレル・ローデン、ジョシュア・ザッセ



第二次世界大戦下、ナチスドイツとソビエトの攻防が続く東部戦線。味方からのSOS信号を受信したソ連の特殊部隊は、発信元と思われる教会に辿り着いた。しかし、発見したのは死体の山と、謎の地下施設と、おぞましいクリーチャーの数々。そこでは、フランケンシュタイン博士の末裔が、人体と機械とを融合させた改造人間を製造していたのだった。

ソ連の特殊部隊に同行した戦争プロパガンダ映画撮影班のフィルムに残されていた映像……という設定のはずだが、フィルム映像ノイズなしスゲェクリア! ナチスもソビエトもノー母国語で英語ペラペラ! このあたりで時代背景だの軍事知識だの細かい話はぶん投げるよう心がけよう。

POVものにおいて最後までカメラを回し続ける奴は、報道義務にあふれすぎているかウザいばかりというパターンが多い。本作のカメラマン=ディミトリは、実は切羽詰まった背景があるとはいえ、POV主人公トップクラスのクズ男。クズがどうにもまとまりのない部隊を映し、彼らがモメたりブチ切れたりで、最終的にご対面するのはマッドサイエンティストで、さらにその後……と、敵にも味方にもロクな人間がいない。

その点、邦題になった武器人間たちは、みんな任務(=殺戮)に忠実で、作り主に忠誠心があって非常にエラい。口にドリル、手がハサミ、頭がプロペラだったりアイアンメイデンだったりと重量感たっぷりで、洗練されているとはいえないがオタク心に刺さるデザイン。『アイアン・スカイ』もそうだが、黒々とした重金属はなぜかナチスと相性がいいし、オタク心にもフィットするのである。造形美よりインパクト重視で作られているので、生体パーツのツギハギが多少どころじゃなく粗いのはご愛嬌だ。

しかし、明らかに殺傷用に作られていながら、ギリギリまで近づいているはずのディミトリに大した傷も負わせられていないのは、やはりみんな頭が重くて視界不良なんじゃないですかね。「武器人間」としては致命的なんじゃないですかね。
ケーブル一本切られたら停止しちゃうプロペラマン、大丈夫ですかね。
殺傷用じゃなくて助手として作られてるオッペンハイマーさんやエヴァちゃんやポッドマン(別名ハンス君)のほうが使える子なんじゃないですかね。
特に、博士の後をよちよちついて回るハンス君の愛らしさときたら! まぁ、そういう欠陥がまた可愛い奴らなんだけどね。
言うまでもないけど、ここは脳ミソや内臓のモロ出しに耐えられる人に限る価値観だからね。

ちなみに、フランケンシュタイン博士を演じたカレル・ローデンは、『ヘルボーイ』でラスプーチンを演じていた、ナチスとソ連を渡り歩く怪人俳優。今回も常人では理解できない新世界への道を開くべく、新人類の誕生に熱を注いでいる。「ちょっと共産主義が多いな……」「また作るさ!」の名言には、天才の思考力半端ねぇなと脱帽したものです。


ヒトラー最終兵器('13)

監督:キアラン・パーカー
出演:ブライアン・ラーキン、イヴァン・カマラス




第二次世界大戦下、ナチスドイツとソビエトの攻防が続く東部戦線。極秘の地下研究施設へ向かうナチスの一隊を殲滅させたソ連の特殊部隊は、逆に奇襲に遭って捕まり、研究施設へと送られてしまう。そこでは、ナチス開発・最強のバイオソルジャーが製造されていたのだった。

ソ連の特殊部隊に同行した撮影班のフィルムに残されていた映像……という設定はないから画面がノイズなしスゲェクリアでも問題なし! だけどやっぱりナチスもソビエトもノー母国語で英語ペラペラ! やっぱりある程度細かい話はぶん投げるよう心がけよう。

日本版ではバイオソルジャーと銘打たれたナチスの改造兵士だが、皮膚のボロボロ具合やツギハギ具合からして、要は限りなくゾンビソルジャー。ただ、並みのゾンビに比べると結構なパワーファイターである。一応、脳ミソも並みのゾンビよりはありそうだが、上からの殺人命令以外のコミュニケーションは困難で、ほぼ猟犬扱い。実際、鎖でつながれて4足歩行してるのもいるし。処刑山ゾンビたちや上記の武器人間と比べると、愛嬌やキャラ立ちはないが、兵士としては格段に使える奴らである。

研究施設から脱出しナチスの計画を阻止するため、捕らわれたソ連特殊部隊員はこのバイオソルジャーとの苦戦を強いられる……はずだった。しかし、改造人間でもなければ特殊な血清を打ったわけでもない特殊部隊隊長・ドロコフさんが、地味な佇まいながら実は最強のおじさんだったのだ!! 
ナチスに捕まって早々、部下がバイオソルジャーに殺されたのを目の当たりにしたドロコフさんは、なぜかタンクトップ1枚になり「かかってこいやぁぁぁ!!!」(超訳)とそいつらを立て続けに素手でブチ殺し、さながらえげつないダイ・ハード。
その無双ぶりに「こいつは実験に使えそうだなぁ」と別室に閉じ込められるも、素手で手錠をぶっちぎりドアをぶち破る、シュワルツェネッガーのごとき怪力。
力任せなだけでなく、ナチ軍服をお借りし、敵の背後から忍び寄ってはナイフで仕留めていくメタルギアソリッド戦法も大活躍。
そしてしまいには、銃撃の雨と爆薬でもって敵を殲滅するエクスペンダブルズ戦法へ……! 
ゾンビだらけのエグい戦いになるのかと思いきや、実はまさかのオヤジ無双映画。しかも、ナチスの一部隊やバイオソルジャー複数体よりもデキる奴。もう邦題を『スターリン最終兵器』に改めてもいいんじゃないですかね!?

なお、『ヒトラー最終兵器』の原題は『Outpost Ⅲ:Rise Of The Spetsnaz』。これ以前に『ゾンビ・ソルジャー』(Outpost)『アウトポスト BLACK SUN』(Outpost: Black Sun)という2作があって、本作はその前日譚という位置づけのよう。ソ連との戦いは終わっても、ナチスのバイオソルジャーはご健在だったのか。


ということで、現時点ではナチスとソビエトのトンデモ戦線ものはいったんお休みしてもよさそうな気がしている。しかし、トンデモ系ナチスものに関していえば、まだ観たい気がしてしまう。『ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ』とか……。
それもこれもすべてこいつが悪いんだよ! 『Dead Snow 2 : Red vs. Dead』が面白すぎるからだよ!!

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