2015年3月21日土曜日

マリリン・マンソン/ザ・ペイル・エンペラー

20年越しの大人。

MARILYN MANSON
THE PALE EMPEROR('15)



「師匠……大人になったなぁ……」と率直に思った。
ロックスターが大人になるというと、「初期衝動を脱却する」とか「尖らなくなる」とかマイナスイメージが出てくるだろうが、この場合は改めて「師匠みたいな大人になりたい!」という憧れの意で。
「目指すところがおかしい!」とか「その前にもう少し真っ当な大人になれ!」というご叱責は確実にあるでしょうがね!!

ミドルテンポ曲主体は、6th『イート・ミー、ドリンク・ミー』以降踏襲されている路線。中身については、6thでは内省、7th『ハイ・エンド・オブ・ロウ』では初期のようなアメリカの悪童路線に返るところもありつつ、8th『ボーン・ヴィラン』では文学と退廃を全面に押し出してきた。そのたびに音楽性がどんどん洗練されてきたのだが、ここへきて洗練度が一番高まった。『ボーン・ヴィラン』のときも「荒削りがぐっと少なくなった」と書いたが、その時以上に装飾が極力減らされている。その最たるものが、デラックス・エディション収録のボーナス・トラックM11~M13 。原曲のアコースティックバージョンか……と、いつもならそれだけ止まりの曲のはずが、むしろアコースティックバージョンのほうがカッコいいんじゃないか!? と、こっちのほうをついヘヴィローテーションしてしまうほど。
この変化は、今までトゥイギーなりティム・スコルドなり自分なりとバンドメンバー内で行ってきたソングライティングを、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』といった映画音楽を手掛けてきたタイラー・ベイツに任せたところが大きいようである。サザン・ロック風味が強いという点では、『デビルズ・リジェクト』が本作の方向性に近いように思えるのだが。ちなみに、M1「Killing Strangers」は『ジョン・ウィック』、M9「Cupid Carries A Gun」はドラマ『Salem』のメインテーマへと、サントラへの曲提供が急に増えたのも、ベイツとのコラボが影響しているのだろうか?

と、ここまで新風も取り入れてぐっと大人のサウンドを聞かせておきながら、いざライヴに行ってみたら、オーディエンスに中指立てたりケツを向けてたりと思いっきり大人げなくなっている可能性もなきにしもあらずだけど、自分そういう師匠もキライじゃないです。いやむしろ、だいたい何やっても好意的なコメント出せる程度には盲目ですから。

ローリング・ストーン誌(日本版)によると、かつてほどアブサンをがぶ飲みしなくなったとか、ジムに通い始めたとか、さすがに46歳になって健康に気を使いはじめたらしい師匠。その一方で、いまだ奇行があったり、部屋の設定温度をバカ低くしていたり、現在ちょっと低迷モードに入っているジョニー・デップとライヴゲスト出演を含めよくつるんでいたり、また新たな年下彼女との生活はいろんな意味で好調だったり、マンソンはマンソンだとしか言いようのないブレのなさも。
「俺はいつだって乗り切っていく/俺はロサンゼルスのメフィストフェレスだ」(M4『The Mephistopheles Of Los Angels』およびM12『Fated, Faithful, Fatal』)のリリックに違いなしであることを今後も願ってますよ、師匠。


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