2015年10月25日日曜日

マーダードールズ/ビヨンド・ザ・ヴァリー・オブ・マーダードールズ

可愛い殺人人形の血しぶきパーティー。

MURDERDOLLS
Beyond The Valley Of Murderdolls('03)




ハロウィンが近いと、この人のヴォーカルが聴きたくなるんですよね!
……って言ってるの、いまだに周りに自分しかいないんだけど。

スリップノットのドラマー、ジョーイ・ジョーディソンがギターを担当し、ウェンズデイ13がB級ホラーの申し子とでも言うべき禍々しくも可愛いボーカルを聞かせてくれる。(ギタリストには当時スタティックXのトリップ・アイゼンもいたが、後々事件があってバンドどころか音楽シーンからもフェードアウトしてしまった……)

「ジョーイのサイド・プロジェクト」という位置づけもされているが、確かにスリップノットではできない音楽性を解放しているとはいえ、アーティストが両バンド同じくらい心血注いでいるのなら「サイド」扱いは失礼ではないか……とも思う。
「こんだけホラー大好きアピールしてる人の作品をサイドとは何ですかサイドとは!! こっちだって立派な本家っすよ!!」というホラーファンの勝手な同志意識が突っ走った結果でもあるのだが。

ちなみに、ライヴでのバンド形態はジャケ写の通り5人だが、アルバムではジョーイがドラムも担当していたとのこと。そしてファンならジョーイのドラム技術の凄まじさは知っての通り。
そのため、時間がなくて写真判定ぐらいでオーディションをパスしてしまったライヴドラマーが、「音ペナペナじゃないですか……」と反感を買うという災難もあったそうな。

マーダードールズの発祥は、ジョーイとウェンズデイがスリップノット以前に組んでいたリジェクツというバンド。だが本作の音楽性の大元になったのは、リジェクツ活動停止後にウェンズデイが活動していたバンド、フランケンシュタイン・ドラッグ・クイーンズ・フロム・プラネット13。
その名の通りゴテゴテしたホラー色溢れる歌詞と音楽性をマーダードールズも継承し、「彼女はティーンエイジのゾンビ」(M6『She Was A Teenage Zombie』)、
「俺は宇宙からやってきた墓泥棒U.S.A.!」(M8『Graverobbing U.S.A.』)、
「ミス・アメリカをぶっ殺せ!」(M13『Kill Miss America』)
と、ホラーファンに目配せしつつも、怖さはどこかに置いて楽しさと可愛らしさを押し出した曲を聴かせてくれる。ウェンズデイのソロアルバム『トランシルヴァニア90210』でも同じように言及したけど、鮮やかすぎる血しぶきのように毒々しくも明るい、キャッチーなロックンロールである。

『エクソシスト』のリーガンに夢中なM4「Love At First Fright」、タイトルからあからさまに『ゾンビ』な「Dawn Of The Dead」など、B級に留まらないホラー愛も覗かせる。
先述の「Graverobbing U.S.A.」といいM3「Dead In Hollywood」の歌詞といい、エド・ウッド映画へのオマージュも隠さない。そういえば、アルバムタイトルは巨乳大好きラス・メイヤーの『ワイルド・パーティー』の原題パロディか。
マイ映画生活がホラーやカルトに傾倒していくほどに、ウェンズデイとジョーイが友だちじゃないことを勝手に悔やんでいるよ。

ちなみに、国内盤のブックレット解説いわく、ジョーイは『悪魔のいけにえ』のほう、ウェンズデイは『悪魔のいけにえ2』のほうが好きらしい。ってことはウェンズデイのほうがより友だちになれそうなのかなぁ(一方的推測)。

歌詞に登場するホラーアイコンの名がいくつ分かるかがホラー入門者バロメータな
M3『Dead In Hollywood』。MVにはマンソン師匠も出てますよ!
もちろんウェンズデイのB級ホラー声も堪能してほしい。

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