2015年10月27日火曜日

ムーンスペル/EXTINCT

絶滅させるなベルベット・ボイス。

MOONSPELL
EXTINCT('15)



実は私、ムーンスペルの曲を安眠導入に使っております。フェルナンド・リベイロ(Vo.)のクリーンボイスは大変に聴き心地が良くて落ち着くのです。
……って言うと割と分かって頂けるのに、「クレイドル・オブ・フィルスも安眠に効きます」って言うと一斉にヘンな顔をされるのは何故ですか。ちなみにムーンスペルはクレイドルのサポートアクトを務めてたことがあり、その際ステージのクライマックスにクレイドルのメンバーから小麦粉をぶっかけられるというイタズラに遭っていた模様がクレイドルのライヴDVDのドキュメンタリーに収録されていましたよ。

ポルトガル産ゴシック・メタルの11thアルバム。思えば活動履歴が1992年からで23年目に入っているのだから、彼らもベテランの域に達したものだ。
6th『MEMORIAL』以降はヘヴィネス路線が目立っていて、フェルナンドのデスボイスも初期と比べて格段に深みと凄味を増していたのでそれはそれでキマっていた。ただ、本来持っていた「ゴシック」的な耽美性と艶やかさが薄まっていたのは残念だった。特にそれを担っていたのがフェルナンドのクリーンボイス。別名ベルベット・ボイスと言われるほど、低音で艶やかで色気がある。デスボイスも良いが、フェルナンドの武器はベルベット・ボイスと思う人間にしてみれば、そちらをもっと活かせばいいのにというのが近年の作品を聴いての感想だった。(だから10th『Alpha Noir』とセットというか対になっていた『Omega White』は、個人的に大変理想的だった)

そこへ本作である。時折デスボイスも入れつつ、ベースはクリーンボイス。クリーンボイスの曲はおとなしめ、あるいはバラード色が濃くなる傾向にあったが、今回はややヘヴィネスが主張している傾向。3rd『Sin/Pecado』以来の中近東風メロディやストリングスの導入も見られる。
ここ最近物足りないポイントであった耽美性と艶がぐっと増したが、デスボイス全開のヘヴィ路線が好みというファンには、あまりありがたくないかもしれない。良く言えばバランスが良く、悪く言えば折衷案か。彼らの音楽が本来持っているダークな美しさや、詩人でもあるフェルナンドの詞の魅力を引き出すには、なかなかに良い手法だったように思えるのだが。
面白いのは、彼らが「ゴシック」を意識した作品づくりをした結果、ゴシックの重鎮といわれるシスターズ・オブ・マーシーに近い曲が多々見受けられるようになったことだ。ボーカルにドスを増したエルドリッチおじさんがこのアルバムを聴いたらどう思うのだろうか。

リードシングルとなったM2「Extinct」。
アルバムの中ではフェルナンドのデスボイス中心版です。

こちらがベルベット・ボイスを堪能できるM4「Domina」。
シスターズっぽさを感じさせる曲でもある。

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