2016年1月18日月曜日

アメリカン・バーガー

アメリカン(本当はスウェディッシュ)・バーカ。

アメリカン・バーガー('14)
監督:ヨハン・ブルマンダー、ボニータ・ドレイク
出演:ガブリエル・フレイリッシュ、フリードリク・ヒラー



2015年のクリスマスには『グリーン・インフェルノ』を観て、12月29日(ヒフとニクの日)には新文芸坐で『悪魔のいけにえ』と『食人族』の二本立てを観る。
で、2016年映画初めが「未体験ゾーンの映画たち2016」のコレ。人生でもっとも人肉食づくしの年末年始となったのだった。

ヨーロッパをバス旅行中のアメリカ人高校生一行。本日のプログラムは、とある小さな村の主産業である「アメリカン・バーガー」の工場見学。商品のウリは「使用しているお肉は100%アメリカ産」……それもそのはず、この工場では見学にやってくるアメリカ人たちをバッサバッサと殺し、その肉をハンバーガーの材料にしていたからだ! 
到着早々大半の生徒や先生があっさり血祭りにあげられる中、逃げ足の早さ、トイレ中、覗き見中などのおかげで生き延びた一部のチアリーダー、ジョックス、オタクたちは、森の中を逃げ惑う。果たして彼らは、情緒不安定な工場長や仕事熱心な解体職員の手から逃れられるのか……。

今現在食人映画推しモードの自分ではあるが、はっきり言ってこの映画における人肉バーガーや食肉解体は、「どうでもいい」程度の扱いである。
血しぶき描写だって、あからさまに手のひらに血糊パックを仕込んでいるのがバレバレで、ゴア度ゼロのチープ度マックス。
この場合重要なのは、「アメリカン」と「バーガー」……ではなく「バカ」なのだ。

本作はスウェーデン映画で、実はアメリカ人一行を演じる役者さんもみんなスウェーデン人。つまり、いかにもモテ男な金髪ジョックスも、セクシーでアタマの悪そうなチアリーダーも、知恵が回りそうで回らない童貞丸出しオタクも、スウェーデン人の思うバカなアメリカン像なのだ。
とはいえ、映画好きなら国籍問わず、こういうアメリカ人ステレオタイプを思いつきそう。当のアメリカ人がこの映画を観たらどう思うんだろうね。ときどき映画で見かけるトンデモ系日本人よりはマシな気がしちゃうんだけどね。

なお、ここに出てくるキャラクターたち、実は名前がない。オープニングとエンディングのクレジットで確認できるが、「デブのオタク」「金持ちのお坊っちゃん風オタク」「イケてるチアリーダー」「クォーターバック」「先生その1」等、ヒドい記号である。
唯一名前のある人間ですら、「目つきがキモいオタク、通称マイク」だもんな。

アメリカ人像のみならず、「スウェーデン人の思うバカなアメリカ映画像」もふんだんに取り入れられている。バスが停止するたび引率の先生が顔面からフロントガラスにぶち当たる繰り返しギャグに始まり、何としてでもこの休みの間に童貞卒業したいオタクたちの空回りが続いたり、ダースベーダーモノマネ始まったり、逃げるアクションシーンで突然スローモーションになったり。
一番セクシーなチアリーダーが逃げる間に服が破れ続け、しまいにはキャミソール1枚&ノーパンになってしまうギャグは、ムダにダラダラとしたショットすら愛着が湧くほど。
小便&大便ネタとか、ムダにゲ○吐くシーンが入るといったド底辺の笑いもあるけど、どちらかといえばわざとこの手の下品ネタやるのはアメリカよりヨーロッパのほうが多い気が。

ただ、最後の最後にこの映画は、もっともアメリカ的でない解決法を選ぶ。それは、「やられたらやり返せ」とばかりに武器を手に取り敵を血祭りに上げにいくのではなく、ある意味で秀逸な発想にして、とんでもなく穏便なやり方なのである。
まぁ、結局のところ大バカであることに変わりはないのだけれども。

0 件のコメント:

コメントを投稿