2014年8月8日金曜日

GODZILLA (2014)

怪獣王×タメ・キメ・ミエの掌握=無敵。

GODZILLA('14)
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:アーロン・テイラー・ジョンソン、渡辺謙



「ハリウッド版ゴジラって昔映画化されてなかったっけ?」
「アレの続編やるの?」
「いや、アレ関係ないっすから! なかったことになってるから! 黒歴史だし。っていうかイグアナだし
まさか公開前にエメゴジ('98年のエメリッヒ版ゴジラの意)釈明にあたることになろうとは思わんかったさ。これが映画オタクと世間のズレの一環なのだろうか。

1999年、フィリピンの炭鉱崩落跡の調査に呼ばれた芹沢博士らは、巨大生物の化石とそれに寄生した巨大な卵のようなものを発見する。
同年、日本のジャンジラ市(ジャパン+ゴジラで命名?)で謎の振動と電磁波が発生し、原子力発電所が倒壊。原子炉の調査に当たっていたブロディ夫妻の妻サンドラが亡くなる。
2014年、ブロディ夫妻の息子フォードは、軍の任務を終えてサンフランシスコの家族のもとに戻るが、父ジョーが立ち入り禁止区域のジャンジラ原発跡地に侵入し逮捕されたとの連絡を受け、父の身柄を引き取りに急きょ日本へ向かう。ジョーは、原発事故の背後で隠ぺいされた「何か」を探ろうとしていた。

……といったストーリーを置いといて取り急ぎ言わせてほしい。
ゴジラがマジでゴジラだった!!!!

ギャレス監督はオリジナルのゴジラのファンだと聞いていて、きちんと愛情もってつくってくれるんだったら大丈夫だろうと思っていたら、いやはやそんな大丈夫とか安心といったレベルではありませんでした。全幅の信頼を置きたいレベルでした。下手すると、ゴジラ好きではあるけどものすごいファンってほどではないくらいの日本人観客(私とかな)が忘れかけていた事実を、ギャレス監督が蘇らせてくれたのではとも思う。
それは、ゴジラは生物すべての頂点に君臨する「神」であり、ヒーロー視するものでも倒して「やったーー!!」と思うものでもなく、畏怖の対象であるということである。そこに重きを置いたからこそ、実は大々的に映っているカットは少ないにも関わらず、地響きや咆哮1つですべてを持って行ってしまう存在だったのではないだろうか。
さらには、ゴジラにとって人類なぞ敵でもなく守る存在でもなく、まったく何とも思っちゃいないということである。チャイナタウンの戦いでフォードと一瞬目が合うも、意志の疎通を感じさせるわけでもなく瞬く間に煙の中へ消えてしまうゴジラ。あれこそ神との対面である。
しかし、神だ畏怖だという一方、皮膚のタプつき具合や動き方から漂う着ぐるみ感を見ると、何とも嬉しくなってしまうのもまた事実。『パシフィック・リム』のときもそうだったけど、たとえCG製でも着ぐるみっぽさのある怪獣はなぜか愛着が高まるのですよ。これで日本はアンディ・サーキス(ゴジラのモーションキャプチャー担当。まさかゴジラの現場にこの人がいようとは……)にすっかり頭が上がらなくなってしまったかもしれない。あ、一方タプつきのないムートーも、あれはあれで特撮で動かせそうなデザインが良かったですよ。

ただでさえ最強で、監督が畏怖の念を念頭に置いて作り上げ、そのくせ愛着すら湧くゴジラなのに、今回のゴジラはさらに強力な武器を持ってきた。出現までの「タメ」、現れた瞬間の「ミエ」を切るかのようなショット、そしてここぞというときの「キメ」である。キメの最たるものはもちろんあの咆哮。それ以上のことはぜひ一度その目で確認してほしい(願わくばスクリーンで)。この瞬間ばかりは畏怖とはまた別の高揚感がやってくる。
まさかここまで魅せ場を分かってらっしゃるゴジラとは思っていませんでしたよ。一緒に観に行った母がゴジラのタメ・キメ・ミエおよび去り際を「時代劇のサムライ」と形容してましたが、確かにそんな感じでしたよ。

ゴジラにとって取るに足らない存在だからなのか、ゴジラよりはるかに長く映っているにも関わらず、人間たちのドラマはゴジラの存在よりも薄め。離れ離れになってしまったフォード一家も、殲滅作戦に乗り出すアメリカ軍も、まるでゴジラとムートーの背景である。うっかりすると「いいよもう人間は! それよりゴジラだ! ムートーだ!」とさえ思えてくるほど。
極めつけは渡辺謙演じる芹沢博士。ゴジラやムートーの生態を研究しているはずなのに、研究者らしい活動をしているところはあまり見当たらず、怪獣について何らかの対処策を練っているわけでもなく、ただゴジラの強さを信じるのみ。そしてゴジラをこの目で見たくて仕方ない。すでに多くの方がご指摘している通り、単なるゴジラ大好きおじさんである。ただ、追跡の最前線にいながら危険にさらされることもなくゴジラやムートーを見られるというのは、ある意味大変に理想的なポジション。つまり、ゴジラファンにとって夢の役割?
なお、少なからず核や戦争や人類の傲慢を背負うゴジラものに、アメリカ人にヒロシマのことを少しでも訴える瞬間があり、今この時代に日本の原発事故に言及するという点が、人間ドラマとは少々ズレるもののもっともドラマが活きた瞬間ではないだろうか。

デビュー作でモンスターをほとんど見せずしてモンスター映画を撮ったギャレス監督だけに、ゴジラを最低限の登場シーンで最高神にしてみせた手腕にはどこまでも賞賛を贈りたくて仕方ない。ただし、欲をいえばその最低限に削られた怪獣決戦をもっと観ていたかったところ。
となると気になるのが、早々と制作が決まった続編。どうやらキングギドラとモスラとラドンが登場して四つ巴の戦いになるらしい。さすがに4体も出現するとバトルシーンも増えるだろうし、今回のフラストレーションが解消されることになるかもしれない……!!!

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