2012年10月25日木曜日

ハロウィン(2008)

肉付けされた亡霊。

ハロウィン('08)
監督:ロブ・ゾンビ
出演:マルコム・マクダウエル、ブラッド・ドゥーリフ



なんか分かる。マイケル・マイヤーズにもう少し具体的な背景を作りたくなる気持ち、スゲェよく分かる。何せ、オリジナルの1978年版『ハロウィン』で、誰にも気づかれずぬぼーっと佇むマイケルの姿が、郊外で行き場をなくしたアウトサイダーの亡霊に見えてしまった人間。自身もアウトサイダーたるロブ・ゾンビが自己投影したかのようなマイケル像には、大変納得がいく(あれがロブの実際の家庭環境だったってわけではないものの)。
もちろん、そこが最大の評価の分かれ目には違いない。だが、原作にリスペクトがあって、原作の重要なポイントも押さえていながら、賛否を大きく分ける要素も盛り込むという意欲があるあたり、リメイク作として優秀なほうに思える。

ハロウィンの夜に家族を殺した少年が、成長してから精神病院を脱走して故郷に戻り、実の妹を追い詰める……という基礎は、もとのジョン・カーペンター版とあまり変わらない。ロブ版のほうがいくぶんカラフルで、犠牲者数も増えて、流血描写もアップしてるぐらい。
ただし、人間として生まれてはきたのだが、しだいに亡霊のような殺人鬼になっていくマイケル・マイヤーズの「人間」の部分に、ロブはアウトサイダーの要素を用いて肉付けしていった。貧乏な家庭に生まれ、同居している母のヒモ男にはバカにされ、姉からは邪険に扱われる。学校では友だちもなく、母がストリッパー稼業をしていることでまたバカにされる。そしてついにハロウィンの日、自分を虐待してきた人々を惨殺……と書くと社会が生んだモンスターみたいだが、過酷な家庭環境と学校での状況がマイケルを殺人鬼にしたのかといわれると、それは違うんじゃないかと。
そう思うのは、ロブがマイケルの心にまでは肉をつけず、空洞のままにしたからだ。愛情を注いでくれる人(母)も、愛情を注ぐ対象(妹)もいながら、家族を殺していまう。収監されてからも母はマイケルに向き合おうとしているし、親切にしてくれる看守(ダニー・トレホ。ガチの刑務所経験がある人が語ると説得力増します)もいるのに、目を離した隙に看護士を殺害。成長して巨漢の青年になったと思ったら、護送と同時に警官を殺し、トレホ看守すら手にかけてしまう。なぜ周りの愛情が哀しいほど届かないのかは分からない。行動の説明が今一つつかない。マイケルの闇に手をつけなかったから、人間・マイケルが徐々に怪物性を増し、亡霊/殺人鬼と化す過程が保たれたのかもしれない。
「人間」マイケル・マイヤーズには自己を投影し、「亡霊」ブギーマンにはスラッシャー・ホラーの星としてのリスペクトを注ぐというのがロブの魂胆だろうか。となると、マイケルが故郷で大量殺戮をくり広げる後半がちょっと物足りないのは、ロブのオレオレ度が低めだから?

まぁ、今回ロブ・ゾンビのオレオレが一番出ているのは、何といってもキャスト。マイケル・マイヤーズに翻弄されたり殺されたりしているメンツが、ちょい役も含め実にホラーオタク向け。『時計じかけのオレンジ』のアレックス君に、『チャイルド・プレイ』シリーズのチャッキー君、女王シビル様(本名か)。『マーダー・ライド・ショー』&『デビルズ・リジェクト』からは、ファイアフライ一家のオーティスとベイビーとマザーとルーファス(これはマイケル当人か)、ワイデル保安官兄弟、アンホーリー・ツーのロンド兄貴、キャプテン・スポールディングと義兄弟チャーリー・オルタモントが出演と、もはや鉄板のロブ・ゾンビ組。こういう顔ぶれを探す遊び心は、ロブファンにとっては嬉しいところ。
あと、嫁さんシェリ・ムーン・ゾンビを魅力的なキャラにするってポイントにおいては、ロブはまったくブレないし達人ですよ。

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